数々の業務改革・業務改善を実施してきましたが、その中で大規模な会社(1000人以上)における業務改善の6つの壁を紹介します。
業務整理/ワークフローの壁
自動化に必要な対象が定義されていないことが多く、必要に応じて「タスクとはなにか」「社員とはなにか」「商品とはなにか」など、そもそもの議論をする必要なケースが一定存在する
対応方法:
・自チームに影響する範囲のみまで対象業務やユーザー提供範囲のスコープを狭める
・上流を巻き込んでシステム化における定義を決める
権限・セキュリティの壁
下記の情報取得に時間がかかることがある
・データの閲覧権限
・サービスアカウントに割り当てるAPIの権限範囲
・ツールの中に存在するデータの連携
対応方法
・業務上必要であることとアラインを依頼者と連携して取り直す
ヒトの壁
現場の作業者が、仕事がなくなることに対して嫌悪感を抱き、反発するケース
「今まで人でやっていたときにできていた〇〇が失われるのではないか」など細かい部分をフォローする必要がある
対応方法
・一番詳しいキーマンを抑え、彼らが業務上抱えている課題を掴んで解決策を提示することで、人が行うことの価値を残しつつシステムで解決できる範囲を改めて検討する
技術の壁
そもそも自動化のためのAPIが公開されていないパターンや、オンプレミス上にあって取得できないパターン、部分的には実現できるが細かい部分には手が届かないパターン、技術的に時間がかかりすぎるパターン
対応方法
・スキルの問題については追加でリソースを確保するか、課題解決の方法を社外や海外に求める
・できない部分は手作業でのcsv連携作業を運用に組み込むなどの体制の構築もセットで対応する必要がある
・APIのrate limitなどに制約があるケースは、直接自社だけ上限を緩和できないかという相談も検討可能なことが多い
属人化の壁
・そもそもチーム内にITに強い人が少なく、メンテナンスが構築者に集中してしまう
・退職後に引き継ぎができずに取り組みが風化してしまう
対応方法:
・マネージャーと連携し、チームメンバーにロールに応じたスキルの定義を現状より更に高めるように変更する
・草の根的に定期的な勉強会を開催し、興味のある人に少しずつ引き継いでいく
いかがでしたでしょうか?
以上が自動化作業の困難とそれに対する突破方法になります。
早稲田大学人間科学部情報科卒業。
(株)すららネットにてアジア向け算数デジタル教材の開発を経て、デジタルハリウッドのエンジニア養成学校G’s ACADEMYでプログラミング講座の新規立ち上げ、営業、教育を担当。3年半に渡り、中高大学生から社会人まで計6講座500名以上へプログラミングを教える。フリーランスエンジニアを経た後、現在は(株)メルカリのコーポレートエンジニアリング部に所属。Udemyにて2つのGoogle Apps Script講座を立ち上げ、1年半で登録者数は6000人を突破。
中高英語科教員免許保有 / IPA未踏アドバンスト’18 採択者。